【身体障害】頸髄損傷C4受傷者の暮らし

はじめに

障がい者生活のセイタロウです。
このブログのこの記事をご覧くださりありがとうございます。

私は、頸髄損傷(ケイズイソンショウ)C6四肢麻痺という比較的重度な身体障害がある手動車いすユーザーで、もう28年も車いすを利用した生活をしております。

28年前は、インターネットもまだ普及していない世界で、現在のように必要な情報を何でもネットで調べられないし、ケイズイソンショウ?、セキズイソンショウ?、車いすになって生きていけるの?、なんて将来に対する漠然とした不安だらけで、私と同じような身体障害になってしまった方がどの様にして生きていけばいいのか?なんて、緊急病院の主治医ですら詳しく分からない状態でした。

私が身体障がい者となった時の事や、その後の生き方など詳しいことにご興味がある方は、是非、以下のプロフィールをご覧ください。


参考
セイタロウのプロフィール障がい者生活管理人&著者セイタロウの自己紹介

今では、インターネットも普及し、私と同じように頸髄損傷(ケイズイソンショウ)や脊髄損傷(セキズイソンショウ)などの身体障害当事者も、このようにブログなどのツールで簡単に情報発信できる世の中なので、同じような障害や、難病や、生活の困りごとの解決方法などをネットで調べれば、誰でも簡単に専門医レベルの情報まで手に入れることが出来る世の中になりました。

本当に便利な世の中になりましたが、時よりそういった情報を探していると、何かの本に書いてあったり、ちょっとネットを詳しく調べれば見つけられるような情報はあっても、実際の生活に沿ったリアルな情報は、まだまだ少ないように感じます。

ほんのごく一部の方に限っては役立つ情報が発信されていますけどね。

でもやっぱり、本当に必要としている教科書に載っていない生の情報は、まだまだ少ないんです。

まあ、そこでそういった情報が少ないのなら、私セイタロウがせんえつながら情報発信させていただこうと、28年の車いす生活で蓄積した、他にはあまり載っていないような障がい者に関する情報を発信させていただこうと、密かに企んでいる訳です。

そんな思いで日々情報発信しておりますが、社会福祉士でもある私セイタロウにとっての個人的な備忘録でもありるので、同職種の方々にとってもお役にたてている情報であれば幸いですし、そんな情報を得たい方々にとって、僅かばかりの道標となるロウソクの灯りになれるのであれば、私が生きてきた障がい者人生そのものが社会貢献へと繋げていけたようで、こんなに喜ばしいことはありません…なんつって勝手に自己満足しています。

さて、いつもながら前置きが長くなりましたが、今回は頸髄損傷c4、の重度障害のある方々の生活について情報をまとめてみました。

脊髄・頸髄損傷について

最近になってようやく、脊髄損傷(セキズイソンショウ)や、頸髄損傷(ケイズイソンショウ)と伝えて、「あぁ~!」と、何となく聞いたことがあるといった反応が返ってくるようになりましたが、私が受傷した当時は「頸髄損傷」と言っても「???…」といったリアクションが殆どでした。

頸髄損傷とは?
背骨全体を脊椎(セキツイ)といい、頭蓋骨から延びる7椎目までの脊椎部位を頚椎(ケイツイ)といい、その脊椎の内部の中枢神経部分を脊髄といいますが、頚椎7椎目の内部中枢神経が頸髄となります。交通事故や、体操競技や水泳飛込みなどのスポーツ事故や、高所や階段からの転落、高齢者の場合は転倒などによって頚椎骨折した場合に、内部の中枢神経を損傷してしまうことによって頸髄損傷となってしまうのです。

脊椎には4つの部分に分類され、頭蓋骨から頚椎(C1~C7)7椎、頚椎の下の胸椎(Th1~Th12)12椎、胸椎の下の腰椎(L1~L5)5椎、腰椎の下の仙椎(S1~S5)5椎、仙椎の下の尾骨(1)となっています。

頸髄はC1~C8までの神経区分に分類されています。

C1~C8までの頸髄(脊髄)損傷となり中枢神経が傷つけられると、受傷した神経部位に応じて運動機能や皮膚感覚などに麻痺する部位が出現し、下肢麻痺、体幹麻痺、上肢麻痺、呼吸器官麻痺等に表れます。

頸髄(脊髄)はある一定以上の距離を損傷すると(脊髄の横幅以上に損傷部位の縦幅が超えてしまっていると)自然に再生しないとされており、受傷後1年10ヵ月程度の期間内に身体機能の麻痺部分が改善されなければ、症状固定となって麻痺部位は不可逆的な身体障害となります。

麻痺部位の出現は受傷部位によって個人差があり異なりますが、通常は上肢に残存機能が残り下肢機能は麻痺している方を完全麻痺といい、上肢が麻痺していても下肢機能の運動能力が残存している場合は不完全(不全)麻痺といわれます。

それまで健常者として何不自由なく暮らしてきた者にとって、事故などである日突然に脊髄損傷となってしまうことによって、それまでの生活をガラリと変化させてしまいます。

受傷部位による麻痺分布については下記の図をご覧ください。

脊椎損傷(頚椎損傷)C4 麻痺分節図
C4部位の頚椎損傷者の受傷部位と麻痺分節関連図

上記の麻痺分節図は、脊髄(頸髄)のC4部位付近を損傷し完全麻痺となった方の場合の麻痺分布を、ピンク色で示した図です。

著名人の方ですと、昭和世代にはおなじみの元プロレスラー上田馬之助さんが、1996年3月にプロレス地方都市巡業後の規制中に自動車事故によって頸髄損傷となってしまい、C4相当の四肢麻痺となってしまいました。

1991年に交通事故によって頸髄損傷となっていた私セイタロウにとって、自分と同じような頸髄損傷となってしまった上田馬之助さんの事故は、大変衝撃的だったことを覚えています。

上田馬之助さんも、事故後、壮絶なリハビリをされていたそうですが、2011年12月に誤嚥による窒息で、享年71歳で残念ながらこの世を去ってしまわれました。

上田馬之助さんの偉大さをご紹介されている動画はこちら(2:42)↓

上田馬之助さんの闘病ドキュメントはこちら(21:08)↓

昭和のプロレスファンにとって、偉大なる悪役レスラーとして活躍された上田馬之助さんのだけに、当時のこの事故は大変印象的でしたが、その後、奥様の献身的な介護によって、ご苦労されながらも二人三脚で過ごされていたそうです。

奥様が著された『ふたりでひとり―上田馬之助とその妻の物語 著者:上田 恵美子』で、その時の状況が書き記されているそうです。

おそらく古書店などに行かれれば見つけられるかもしれません。

頸髄損傷者C4の残存機能

頚部損傷の場合は殆どが四肢麻痺状態となりますが、C4の完全麻痺者は、話すこと、飲み込むこと、頭部や首や肩の動きをコントロールすることはできます。

しかし、自分の意志で両腕と両脚を動かすことはできません。(不全麻痺者は一部機能を動かすことができる場合もあります。)

さらに、咳や呼吸をすることにも困難を感じる時があるでしょう。

レベルC4損傷は人工呼吸器は必要としないので、背もたれのついたリクライニング機能付き車いすのみでの移動も可能です。

また、アゴでコントロールする「チンコントロール式電動リクライニング機能付き車イス」を使用すれば、お一人での外出も可能となりますが、そういった際に見守り介助者が居れば、外出時の安全につながります。

受傷部位による残存運動機能は以下の通りです。(個人差はあります)
僧帽筋上部 (肩をすくめる)
横隔膜 (呼吸筋)
頸部傍脊柱筋 (首の伸展)

上記は完全麻痺者の場合ですが、様々な個人差があり、不全麻痺者の場合はさらに上記以外の残存運動機能が残っていたり、皮膚麻痺部位が広範囲に知覚出来る場合もあります。

看護や介助者からしてみれば、どの部分に麻痺があってどの部分が残存機能があるのか分かり辛いところですが、頸髄損傷者はコミュニケーション能力には問題ないので、当事者に確認するのが一番です。

介護としては全介助で、移動、更衣、整容、食事、排尿、排便、入浴、調理、掃除、洗濯などすべてにおいて介助が必要ですが、ご自身で操作できる電動車いす乗車時は、極力自分一人の時間が持てるような工夫が必要でしょう。

脳機能やコミュニケーションには問題がないので、パソコンや環境制御装置などを活用して環境を整えられれば、ご本人の余暇活動を促進することが出来るかもしれません。

環境制御装置については下記も合わせてご覧ください↓

頸髄損傷者C4の医療・福祉機器

頸髄損傷者C4の医療・福祉機器としては以下の物があげられます。

◆吸引器

◆特殊寝台(3モーターなどの電動ベッド)

◆チン(アゴ)コントロール チルト機能付き電動車いす

出典:http://www.accessint.co.jp/products/images/wheelchair/sunrisemedical_quickie-pulse6/02-quickiePulse6_02.jpg

◆介助用リクライニング機能付き車いす

◆入浴用車いす(シャワーチェア)もしくは入浴寝台

◆床走行および天井走行式リフト(ホイスト)

◆環境制御装置

詳細は下記をご覧ください↓

その他にも「食事支援ロボットマイスプーン」などもあります。

出典:https://www.secom.co.jp/personal/medical/myspoon.html

◆広い浴槽の整備や汚物処理設備も必要

など

その他、細々した医療・福祉機器は個々のニーズによってそろえることが必要となります。

頸髄損傷者C4の利用サービス

頸髄損傷者C4の利用サービスは年齢によっても違いますが、64歳までは障害者総合支援法による障害福祉サービスが利用できますが、65歳以上になると自動的に介護保険法の適応になります。

障害者総合支援法の障害福祉サービスについては下記をご覧ください↓

頸髄損傷者C4の必要と思われる障害者総合支援法の障害福祉サービスについては、下記をご覧ください↓

障害者総合支援法の障害福祉サービスでは、在宅生活者の場合は重度訪問介護、生活介護、短期入所、自立訓練の機能訓練等の組み合わせによって生活されることが望ましいでしょう。

また、宿泊型自立訓練や、施設入所支援という障害福祉サービス利用も可能でしょう。

その他に、往診医療、訪問看護(訪問リハビリ)、障がい者入浴サービス、訪問歯科、などの訪問系のサービスを使われるのも良いかと思います。

まとめ

頸髄損傷者C4の方は、高齢で受傷された場合は障害受容が困難な場合がありますが、若い方であれば積極的に電動車いすを扱って、一人でも外出を楽しまれる方が多いです。

もちろん個人差はありますが、最近は環境整備機器もIT技術の発展によって日進月歩で進化しているので、極力一人で過ごす時間を作りながら、必要な時間帯だけ福祉サービスを利用するように支援を組み立てる方法が最善でしょう。

居室内においては、ご本人の余暇活動を楽しめるように居室内やベッドサイドや、車いす移乗中に居室内で過ごしやすいような環境の充足を図ることも大事ですが、あまりにも整えすぎると返って家の中が居心地が良すぎて、外出意欲を奪ってしまう可能性もあります。

したがって、ご本人の心境の変化にも着目しながら、外出も障害福祉サービス利用によって定期的に組み込めると良いと思いますが、やはりご本人の同意を必ず得ながら進めることが重要ですね。

この状態の方は、意識も意思もあるので、自尊心を培えるような役割が見つけられると良いと思いますが、口に筆を加えて描く絵や書を楽しまれる方もおられます。

パソコンを活用して、口でくわえる棒などによって作業をこなす在宅ワークもあるので、ご本人にその気があればそのように支援されても良いかもしれません。

これらの情報が、受傷者やご家族にとって有益な情報となっていたら幸いです。

セイタロウ

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