はじめに
障がい者生活のセイタロウです。
このブログのこの記事をご覧くださりありがとうございます。
私は、頚椎損傷(受傷部位:C6)四肢麻痺という比較的重度な身体障害がある手動車いすユーザー であるとともに、自分で自動車を運転する身障者ドライバーでもあります。
参考
セイタロウのプロフィール障がい者生活管理人&著者セイタロウの自己紹介
普段は障害のある方々の支援をする某障害者生活支援センターに勤務して相談支援業務を行っている仕事柄、相談者のお宅や、相談者が利用される福祉施設に自動車で伺うのですが、自分のまんがいいちの緊急時(トイレや低血糖時など)に備えて、車で立ち寄れる場所の把握にも努めております。(ちょっと大袈裟ですが備えあれば憂いなしです)
そして、それぞれ行く先々の近隣にある公共施設や商業施設には、どのような形状の身障者用駐車場(車いすマーク駐車場)があるのか?、使いやすいのか?、発券を取るタイプなのか?、屋根がある?、傾斜はあるのか?、トイレはあるのか?といった情報をある程度調べ、状況に応じて使わせていただくことがあります。(商業施設の場合はちゃんと買い物は致しますよ)
しかし、いざ所要や緊急時にそういった施設の身障者用駐車場(車いすマーク駐車場)を使わせていただこうとすると、他の一般駐車場は空いているのに数台しかない身障者用駐車場(車いすマーク駐車場)は空きがなかったり、健常者が使えないようにカラーコーンやバリケードで駐車できない(健常者も身障者も使えない状態)ようになっていたり、空いていてもなぜか駐輪場や販売商品置き場になっていたり…と、身障者ドライバーが必要な時に思うように利用できないことが多々あるのです。
実はこういったことは、私セイタロウが頸髄損傷で車いす利用者となったうん十年前から比べて、劇的な変化はしていない印象がありますが、それでもバリアフリー新法(旧交通バリアフリー法・旧ハートビル法)や、高齢化社会の到来の恩恵を受け、各県にパーキングパーミット制度が確立されつつあり、緩やかではあるものの身障者用駐車場(車いすマーク駐車場)の問題は、少しずつ解決の方向へ舵が切られています。
さらに平成29年2月に関係閣僚会議において決定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」において、欧米をはじめとした世界各国で導入されている、国家法制としてのパーキングパーミット制度について、本格的に導入促進に向けた検討を行う議論も始まっています。
ようやく世界基準の身障者用駐車場(車いすマーク駐車場)利用制度が導入されようとしている訳ですが、アメリカのように利用者の裾野を広げすぎて、難なく歩ける内部障害の方も利用OK…なんてことにならないことを願います。
さて、そんな私セイタロウが身障者用駐車場(車いすマーク駐車場)についての想いや感じていることなどを中心に、【身障者用駐車場 課題】のカテゴリー内で、様々な提案をしたり情報提供をさせていただこうと考えております。
今回は、【身障者用駐車場 課題】のカテゴリー内で、前回や前々回等作成記事の【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】基本編】に続き、前回は【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】パーキングパーミット編】、【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】実状編】について情報を整理しました。
そして今回は、【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】適正利用・キャンペーン編】で、身障者用駐車場の適正利用を促すための取り組みやキャンペーンについて、掘り下げて記事にまとめてみようと思います。
【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】基本編】はこちら↓
【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】パーキングパーミット編】はこちら↓
身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】パーキングパーミット・導入県一覧編↓
【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】実状編】はこちら↓
こういった内容に、ご興味がある方やない方にとっても、“へぇ~”と言っていただけるように、お一人でも多くの方にお役にたてるような内容を目指して情報発信していきたい心持でございます。
埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県 適正利用普及啓発活動
さて、身障者用駐車場(車いすマーク駐車場とか車いす使用者用駐車場ともいう)の利用マナーについての問題は、日本全国どこでも共通の課題と言っても過言ではないと思いますが、その中でも、やはり人口の多い大都市部については、人が多い分、それだけ不適切利用も多いようです。
2017年には、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県の一都三県合同で「障害者用駐車場の適正利用に向けた普及啓発活動」を実施したそうです。
出典:埼玉県HP>https://www.pref.saitama.lg.jp/a0601/images/29manners.jpg
リーフレットPDFリンク:東京都HP>普及啓発リーフレット等PDF
この活動は2017年を主に行われた活動のようですが、私セイタロウが個人的に障害者用駐車場(身障者用駐車場とか車いすマーク駐車場とか車いす使用者用駐車場ともいう)の利用について、なぜこの駐車場が必要で、この駐車場を最も必要としているのは誰なのか?ということについて調べたところ、車いす利用者等が必要としている駐車場ということはなんとなく理解されている方が多かったものの、車いす利用者が自動車乗降時にどのようにして乗降するのかについて、正確に理解している、もしくは見たことがあるとの答えは数パーセントしかありませんでした。
さらに、中高年層から高齢者ドライバーになるほどに、なぜこの障害者用駐車場が必要なのか?についての理解率は低下していく傾向があります。
したがって、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県の一都三県で行われた障害者用駐車場の普及啓発活動は、誰が何のためにこの駐車場を必要としているのか?について、改めて周知徹底し、考える機会を与えるために一定の有意義な効果があったのではないかと考察します。
ちなみに埼玉県の発表によれば、2017年(平成29年)に行った啓発活動によって一定の成果があったとの報告がなされています。(以下参照)
【啓発活動の実績】 平成29年度
平成29年度は、車椅子を利用している障害者の皆さんと、イベントへの参加等を通して県民の皆様へ障害者用駐車場の適切な利用を呼びかけました。
1 障害者用駐車場の青色塗装
埼玉県脊髄損傷者連合会と協働して、県内の民間施設の障害者用駐車場を青色に塗装しました。
2 埼玉交通安全フェア2017inイオンモール川口への出展
イオンモール川口で開催された埼玉交通安全フェア2017に障害者用駐車場の適正な利用を呼び掛けるブースを出展し、埼玉県脊髄損傷者連合会の皆さんとキャンペーンを行いました。
3 その他の取組
県では、キャンペーン期間を中心に一都三県共同キャンペーンポスターの掲示を公共施設、文化施設、百貨店、ショッピングセンター等1,218か所へ依頼しました。また県民の日オープンデ―などのイベントにて、県民の皆様に啓発グッズ(メモ帳)の配布をしました。平成30年度も引き続き取り組んでいきます。
引用:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0601/parking.html
まず一番目にご紹介したキャンペーンは、一都三県の行政が行っている啓発活動でしたが、全国各地の都道府県でこのような障害者用駐車場の啓発活動が行われています。
安易に採算性や効率性を追求しない行政のやり方に賛否両論はあると思いますが、普及啓発活動においてこのような地道な活動を継続的に続けるからこそ、やがてその活動が実を結ぶことにも繋がっていく、つまり、宝くじを買わなければ当たらないといった理屈と同じく、活動の種をまかなければ実を結ぶこともないということがいえるので、行政のこのような啓発活動は大変な意義があるものと、私は評価しています。
WaWaWaキャンペーン『車イス駐車場に停めません』宣言
次にご紹介するのは、1996年1月から車イス駐車場の適正利用啓蒙活動を行っていた、WaWaWaキャンペーン事務局のご紹介です。
サイト:WaWaWaプロジャクト事務局『わたしは停めません宣言』
出典:https://wawawa1996.jimdo.com/wawawa%E3%81%A8%E3%81%AF/
主 催:WaWaWaキャンペーン事務局
タイトル:『車イス駐車場に停めません』キャンペーン【わたしは停めません宣言! 】
内 容:車イス駐車スペースの意義をより多くの人に理解してもらい、停めない(車イス駐車スペースの適切利用を訴える)マナーを提唱。
参加費:500円から(2017年9月からの有償ボランティア参加料金・企業は別料金設定)
こちらのWaWaWaキャンペーン『わたしは停めません宣言』は、健常者ドライバーに対して車イス駐車場に停めない、つまり、不適切な利用をなくそうという意思を表明していただくための啓蒙活動で、専用ステッカーを購入してご自身の車に貼っていただくことにより、他のドライバーにも車イス駐車場の適正利用についてアピールすることが出来るキャンペーン活動です。
キャンペーンへの参加は、個人でも企業単位でも参加可能なようで、著名な方々もこのキャンペーンに参加されているようです。
ご興味のある方は、是非ご参加されてみてはいかがでしょうか。
私セイタロウも個人的に参加してみようと思います。
サイト:WaWaWaプロジャクト事務局『わたしは停めません宣言』
◆2018年12月23日追記
私セイタロウもWaWaWaプロジェクトの『わたしは停めません宣言』に参加表明し、パンフレットとステッカーを送っていただきました。
このチラシとパンフレットは、私が勤める職場全員に閲覧してもらい、普段お付き合いのある地元の障害者相談支援事業所や、社会福祉協議会へもご紹介させていただきました。
今後も少しづつでもこの活動を広めて参りますので、こちらをご覧の皆様もぜひご参加くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
世界での身障者用駐車場 適正利用キャンペーン
次は世界に目を向けてみます。
身障者用駐車場の設置は世界各国でありますが、やはり日本と同様に身障者用駐車場の利用マナーについては、世界共通で困った健常者ドライバーに悩まされているようですね。
まずはトルコとロシアの間にある国ジョージア(グルジア)の首都トビリシで行われた、身障者用駐車場の不適切利用について啓発活動を行った際の映像をご紹介します。
Tree of Life – Parking Wheelchairs from Sandro Tsitskishvili on Vimeo.
このキャンペーンは、町の中心市街地にある路上パーキングで行われたキャンペーン活動で、大変需要の高い駐車場において、健常者ドライバーが停めたい一心で数少ない身障者用駐車スペースに停めてしまうことを問題視したことが、このキャンペーンの発端になったようです。
キャンペーンの内容としては少々過激なものですが、健常者ドライバーが身障者用駐車スペースに停めてしまう迷惑行為を逆転の発想でとらえ、多くの車いすが健常者が利用する駐車スペースを占領してしまったら、そこを利用しようとした人々はどのように自身の行為を振り返るだろうか?との、ある種の心理実験的に行われた大変興味深い取り組みがなされました。
結果的にこの取り組みは見事に人々のモラルを甦らせ、それから身障者用駐車スペースに健常者が不適切に利用することはなくなった、といった構成の映像です。
この活動の最大の功績は、活動を行っている最中の様子がSNSで世界中に拡散し、大変有効的な啓蒙活動につながり、しいてはジョージア政府高官が「障害者の権利を守る」との声明を引き出したことです。
しかし私が思うに、こういったキャンペーン活動は定期的に継続的に行わないと、短期間的には効果的でも長期的に効果は維持できないものと考察します。
話題作りとしてはキャッチーだったため、ジョージア政府高官も動かざるを得なかったのだと思いますが、障害者の権利を守るとの発言の後の持続的かつ効果的な活動が重要で、そこに行きつかなければせっかくの活動も水の泡となってしまいます。
是非その後の地道な活動や施策も効果的に継続していただきたいものです。
さらに、ブラジルで行われた超過激な適正利用活動は、身障者用駐車場利用を不適切に利用した健常者ドライバーに対する迷惑行為?で、自警団的に処罰を与える行為を面白おかしく映像に収めたものを見つけました。
個人的な感想としては、目には目を的なやり方では問題の根本的解決にはならないし、いくら不適切利用者だからといっても何をしてもよい訳ではないので、少しいたずらの度が過ぎているようにも感じましたが、ブラジルというお国柄、これを行っても許される国ということなんでしょうね。
さらに、YouTubeなどの動画サイトを見ると身障者用駐車場の適正利用を訴える映像が数多くありますが、それだけ多くの車いす利用者ドライバーが身障者用駐車場の不適切利用について困っている、ということの表れであると言えるでしょう。
個人的に広めたい活動
さて、ここまで日本国内や海外での身障者用駐車場の適切利用を訴えるキャンペーンなどを紹介してきましたが、最後に私セイタロウが個人的に発信したいメッセージについて紹介させていただこうと思います。
改めて整理しますが、車いす利用者はなぜ身障者用駐車場が必要なのか?
上記写真は私セイタロウ自身の車いすから自動車への乗車シーンの一コマですが、ご覧いただいて分かる通り、自動車のドアを最大限広げないと車いす⇔自動車の乗降が出来ないのです。
そしてそのことを、多くの健常者ドライバーは知らない(忘れている)といったことが、この身障者用駐車場不適切利用の最大の課題であるといっていいでしょう。
そこで私なりに、以下の2点についてアピールが必要ではないかと思いついたのです。
1.免許取得や更新時に車いす利用者の身障者用駐車場利用映像視聴を義務化する
これまでご紹介した身障者用駐車場の適正利用に関するキャンペーンをご覧いただいて分かるように、このような駐車場を不適切利用してしまう一つの要因として、誰がなぜ必要な場所なのか正確に理解していない、もしくは理解していても記憶の片隅に追いやられてしまっていることが、不適切利用をしてしまう要因の一つと言えると思っています。
単純に考えて、知らない、もしくは忘れてしまっているなら、定期的にお知らせしたり、思い出していただく機会を作ればよいといった考え方です。
では、定期的なお知らせや、思い出す機会はどのように作ればよいのか?を考えた結果、シンプルに考えると運転免許の取得時や更新時に視聴することを義務化することが、一番効果的なのではないか?と考えた訳です。
まあ、映像視聴が難しいようであれば、身障者駐車場の適切利用を案内したリーフレットを配るだけでも効果は期待できると思いますが、とにかく、『知ってもらう』、『思い出してもらう』を、持続的かつ継続的に行うことが、良いマナーの種をまく効果的な方法だと私は思うのです。
いつかどこかでこういった活動を具体化できればよいのですが…今後も引き続き何かしらの努力をしていこうと考えています。
2.わかりやすい身障者用駐車場表示
前項でも出たキーワードとして『知ってもらう』、『思い出してもらう』という言葉が出てきましたが、この適正利用・キャンペーン編全体を通しても、『知ってもらう』、『思い出してもらう』という言葉がモラルを導き出すうえでいかに重要なのかは理解していただけたかと思います。
そして、上記1でも示した通り免許取得や更新のポイントでの映像視聴によるモラルの導きだしが出来たとして、そのモラルを常習的にするには、もうひと押し背中を押す策が必要なのだと私は考えたのです。
そして出てきたアイデアが、日常的に目にする表示(案内表示)なのです。
上記の画像は、私セイタロウが数年前に作った車いす利用者が自動車に乗降する様子を表した、オリジナルピクトグラム身障者用駐車場案内表示です。
クオリティーはさておいて、日常的に目にする表示で、なぜ車いす利用者は身障者用駐車場を必要としているのか?といった情報を、分かりやすいピクトグラムで目で見て感覚でとらえてもらうことによって、免許更新時に映像で確認した情報を呼び起こすきっかけとしてもらい、結果的にモラルを呼び戻すことへつなげることが主たる狙いです。
少し理屈っぽく書きましたが、早い話が、「車いす利用者の車への乗降はドアを広げる必要があるんだよ」っていうメッセージを視覚的に伝えたいってことです。
その他にもこんな表示も作っていましたが、おそらく説明は不要ですよね。
まあ、あくまでも私セイタロウの個人的見解によるアピール活動に関する考えですが、そうやって一人一人い個人が、身障者用駐車場不適切利用について、どうしたら良くなるのか?と考えていただくことが重要だと考えているので、是非、この記事をご覧になったきっかけで、そういった身障者駐車場適切利用ことについて考えていただきたいのです。
まとめ
以上、身障者用駐車場の【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】適正利用・キャンペーン編】について情報を整理してまとめてみました。
こうして情報としてまとめてみると、身障者用駐車場の不適切利用問題は、日本国内だけの問題ではなく世界共通の問題であることが良く解り、日本国内でもこの記事で紹介しきれないほど数多くの不適切利用防止キャンペーンが行われているのに、一向にそれがなくならないのはなぜなのか?考えれば考えるほどに、この問題はかなり根の深い問題なのだということも実感します。
この記事の前の記事【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】実状編】のまとめにも書きましたが、交通ルールを守らずに運転する運転者がいるという前提で運転することが、安全運転するための常識でもあるので、やはり身障者用駐車場の利用モラルを無視して不適切利用をするドライバーが絶対数はいる、つまり、不適切利用はなくならないと考えるほうが自然なのかもしれません。
さらに、やはり以前の記事にも書きましたが、身障者用駐車場の設置比率が50:1という基準が、約20年も前の基準を現在まで適応している点と、当時の使用者想定になかっは「高齢者」「妊婦」「けが人」「乳幼児連れ」なども新たに組み込まれているのに、50:1の基準(健常者駐車場50台に対して身障者用駐車場1台以上設置すること)が適応させている…つまり、高齢者や妊婦等を適切利用者としているのならば、50:1では少なすぎで、最低でも50:5(当ブログ算出基準:【身障者用駐車場【車いすマーク駐車場は誰の場所?】実状編】参照)は必要といった点に、この問題の本質があるのかもしれません。
いろいろ書きだすときりがなくなってきますが、大事なのは人々の暮らしが少しでも良くなるように、一人一人の個人が何が大切なことなのかを考えて生きることが、今後ますます求められてくるのだと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。セイタロウ。
こんな記事ですが、何処かで何方かのお役にたてるものであったら嬉しいです。
ご興味が得られたようであれば、下記のブログもご覧ください。