障害福祉サービスを使うなら!【同行援護】編

障害福祉サービスを使うなら!【同行援護】編

事故、怪我、病気などが原因でその後の人生が困ったら…

身体・知的・精神の障がいが障害者手帳という形で認められたら、生活の困難から少しでも脱するために、障害福祉サービスを利用してみましょう!

障害者総合支援法の中でも視覚障がい者支援に特化した障害福祉サービスの同行援護は、介護保険サービスにはないサービスなので、障害者手帳所持者や難病者の介護保険対象者も利用できる障害福祉サービスです。

障害福祉サービス利用申請については「事故・怪我・病気などが原因でその後の生活に困ったら」をご覧ください。

障害福祉サービス【同行援護】概要

サービス内容

視覚障害により、移動に著しい困難を有する障がい者等の方々に、外出した際にその障がい者等に支援員(ヘルパー)が同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他のその障がい者等が外出する際の必要な援助を行う障害福祉サービスです。

・基本的な支援内容については、市町村地域生活支援事業の移動支援と同様です。

・経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出(通所・通学)は対象外です。

・同行援護では、支援の始点終点が自宅以外でもかまわいません。「特定の場所」から「特定の場所」への移動に同行援護を利用することが可能です。

・自宅の中で行う外出の準備については、同行援護の算定の対象外です。

・同行援護と通院等介助には優先順位はなく、通院時のみ同行援護を利用することも可能です。利用目的や状況に応じて、利用するサービスを判断することが必要となります。

対象者

[身体介護を伴わない場合]

① 同行援護アセスメント調査票による、調査項目中「視力障害」、「視野障害」及び「夜盲」のいずれかが1点以上であり、かつ、「移動障害」の点数が1点以上の者。(下表参照)
※ 身体介護を伴わない場合については、障害支援区分の認定を必要としないものとする。

[身体介護を伴う場合]

下記のいずれにも該当する者。

◎ 同行援護アセスメント調査票による、調査項目中「視力障害」、「視野障害」及び「夜盲」のいずれかが1点以上であり、かつ、「移動障害」の点数が1点以上の者。(下表参照)

※ 盲ろう者を支援した場合の加算の対象者の判定に当たっては、必要に応じて医師意見書を添付することとなるが、身体障害者手帳において、聴覚障害6級以上に該当していることが確認できる場合については、省略して差し支えないとされている。

同行援護アセスメント調査票

出典:静岡市障害福祉サービス等の概要>同行援護>同行援護アセスメント調査票(17P)PDFより

基準支給量

利用者の障害支援区分(区分1~6)と、介護者の状況(年齢、障がいあり、在宅時間など)を勘案して、基準時間の上乗せ時間が算定されます。
詳細はお住まいの市町村役場内にある、福祉事務所窓口へお問い合わせください。

*同行援護(身体介護を伴う場合)、同行援護(身体介護を伴わない場合)の別によって、基準支給量を区別することはありません。

*移動支援から同行援護に移行する障害者(児)については、従前移動支援で認められていた支給量が同行援護の基準支給量よりも多い場合には、従前の移動支援で認められていた支給量を決定することができます。

支給期間

1年の範囲内で、月を単位として市町村が認める期間(申請を行うことで更新が可能となります。)

利用者負担

基本的に1割負担。(利用者及び配偶者の所得状況に応じ、利用者負担上限月額が設定される。児童は、保護者の属する世帯の所得状況を勘案し上限月額を決定します。)

留意事項

・同行援護の対象となる者は同行援護を利用し、移動支援の支給決定を受けることはできない。また、行動援護や重度訪問介護を併給することもできない。

・以下のいずれかに該当する場合には、同時に2人の同行援護従業者から支援を受けることができる。

この場合はサービス等利用計画案にその旨を記載すること。

①障害者等の身体的理由により1人の従業者による介護が困難と認められる場合

②暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる場合

・障害支援区分の認定は、区分3以上支援加算を決定することが不要と見込まれる申請者の場合には、行わないものとする。

平成30年度からの改訂

平成30年4月より同行援護に関わるサービス提供責任者とヘルパー(サービス提供者)の資格要件が変更となります。

それによって今までの資格要件のままで、サービス提供責任者が個別支援計画を作成すると、10%も減算になってしまい、そのままの条件でサービス提供責任者(10%減算のまま)で続けられるのも、次回の改訂までとなります。廃止予定です。

厚生労働省:平成 30 年度障害福祉サービス等報酬改定の概要より

同行援護ヘルパー及びサービス提供責任者の要件の見直し等
・ 同行援護のヘルパー及びサービス提供責任者の要件のうち、同行援護
従業者養成研修を修了したものと見なす経過措置について、研修修了者
の養成状況等を踏まえ廃止する。
・ 盲ろう者が同行援護を利用しやすくなるよう、平成33(2021)年3月
31日までの暫定的な措置として、盲ろう者向け通訳・介助員は、同行援
護従業者養成研修を修了したものとみなす。なお、本取扱いによるヘル
パーが行う同行援護は、所定単位数を減算する。

平成30年4月からの同行援護従事者用件は以下の通り

≪同行援護のサービス提供責任者の要件の見直し≫

[見直し後]

イ 以下の(1)及び(2)の要件を満たすもの
(1)居宅介護職員初任者研修を修了した者であって3年以上介護等
の業務に従事した者等
(2)同行援護従業者養成研修応用課程を修了した者
ロ 国立リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科の教科を修了
した者等国立リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科の教科
を修了した者等

≪同行援護ヘルパーの要件の見直し≫

[見直し後]

イ 同行援護従業者養成研修一般課程を修了した者(盲ろう者向け通
訳・介助員については、平成33(2021)年3月31日までの間は、同研
修を修了したものとみなす。)
ロ 居宅介護職員初任者研修課程修了者等であって、視覚障害者等の福
祉に関する事業に1年以上従事した経験を有するもの
ハ 国立リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科の教科を修了
した者等

つまり、一般的に同行援護サービスを提供するにあたってはサービス提供責任者は同行援護従業者養成研修の応用課程を修了すること、ヘルパーは同行援護従業者養成研修の一般課程を修了もしくは資格要件(初任者研修)があって1年以上経験がある者等でないと、同行援護サービスが提供できなくなる訳です。

ところが、平成30年3月までに同行援護従業者養成研修の一般と応用を受けていない従事者(ヘルパーや責任者)、もしくは受講申し込みをしても受講枠から漏れて受講できないといった従事者が多く、事業所が同行援護事業継続困難とみなして同行援護から撤退する事業者が大変多く、同行援護利用難民も多数増加しており、社会問題となりつつあります。

今後、厚生労働省をはじめ、関係各省庁や行政の緊急対応が早急に求められます。

 

厚生労働省:平成 30 年度障害福祉サービス等報酬改定の概要より

外出時における支援の見直し

・ 障害福祉サービスは、個々の障害者等のニーズ等を勘案して支給決定
を行うものであり、1日を超える用務における支援の要否も含めて、市
町村が支給決定を行うことから、外出時の支援を「原則として1日の範
囲内で用務を終えるものに限る。」とする規定を廃止する(同行援護及び
行動援護についても同様)。

同行援護(重度訪問介護利用者及び行動援護についても同様)への外出支援に対し、日をまたいで行う支援も可能となる。(要市町村窓口へ確認)

参考資料:障害者総合支援法 事業者ハンドブック 報酬編(中央法規出版)
参考資料:静岡市障害福祉サービス等の概要
参考資料:厚生労働省>平成 30 年度障害福祉サービス等報酬改定の概要

関連書籍など