漫画【パーフェクトワールド】4巻を読んで想うこと…【中途障害者が抱える健常者との心の壁】

漫画【パーフェクトワールド】4巻を読んで想うこと…【中途障害者が抱える健常者との心の壁】01

障がい者生活のセイタロウです。
このブログのこの記事をご覧くださりありがとうございます。

※※※この前書きは【1巻を読んで想うこと…】と共通の内容を引用しています※※※

私は、頸髄損傷(受傷部位:C6)四肢麻痺という比較的重度な身体障害がある手動車いすユーザー です。

普段は障害のある方々の支援をする某障害者生活支援センターに勤務して相談支援業務を行っておりますが、そういった日々の業務経験を積み重ねるうちに、いつしか社会保障制度や社会福祉全般に詳しくなり、気が付けば社会福祉士という資格も取得することが出来ました。

そんな私セイタロウですが、そういった仕事を通じて身体、知的、精神という障がいがある方々と交流を深めたり支援をさせていただくなかで、障がい者の生活について今まで以上に興味と関心を持つようになりました。

参考 セイタロウのプロフィール障がい者生活管理人&著者セイタロウの自己紹介

プロフィールにも書いてあるのですが、私セイタロウは映画や読書が好きなのですが、読書については小説や啓発本や専門書なども読みますけど、やっぱり漫画も大好きです。

好きな漫画は、週刊少年ジャンプを読んで育った世代なのでドラゴンボールや、シティーハンターや、スラムダンクなどなど(世代がよくわかると思います(笑))書き出せばキリがありません。

実は最近はあまり漫画を読めてはいなかったのですが、それでも車いす利用者が登場人物として描かれている漫画は、やはり自分も車いす利用者だけに気になって読んでしまいます。

車いす利用者、特に脊髄損傷という人が主役で描かれている漫画といえば、井上雄彦さんの作品である「リアル」が有名ですが、今回は2018年10月に映画公開された「パーフェクトワールド 君といる奇跡」の上映によって、有賀りえさん原作の本作品を知り、瞬く間にその世界観に引き込まれていきました。

今はただの車いすに乗ったおじさんとなってしまった私ですが、こんなおじさんでも本作品を読み返す度に胸がキュンキュンしてます(笑)

決して胸の動悸ではないと思います(笑)

さて、またまた前置きが長くなりましたが、今回、有賀リエさん原作の「パーフェクトワールド」が、「2019年4月/カンテレ・フジテレビ系4月クールの火9ドラマ」として放映されるとのことが決まったそうで、原作の一ファンとして陰ながら応援させていただきたく、単行本一巻毎にネタバレを含まない感想を、脊髄(頸髄)損傷当事者である私セイタロウの実体験を踏まえて書かせていただこうと思った次第です。

パーフェクトワールド 作品紹介【1巻からの共通項目あり】

原作紹介

さて、この【漫画【パーフェクトワールド】4巻を読んで想うこと…】の感想を書く前に、まずは作品紹介です。

作品名:パーフェクトワールド(4)

発行日:2016年9月13日発売/2019年3月17日現在までに全9巻発刊

著 者:有賀 リエ

発行所:株式会社 講談社[〒112-8001東京都文京区2-12-21]

内容紹介

旅行先の観覧車の中で樹から別れを切り出されたつぐみ。それを受け入れたつぐみだったが、想いは残ったままだった。そんなつぐみに片想いする是枝が突然の告白。つぐみの決断は!? そして樹を見守るヘルパーの長沢が樹に語る「ある真実」とは――。

Amazonより引用

ちなみに私セイタロウは、電子書籍にて愛読しております。

2018年10月には映画化!

作品名:映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』公式サイト:http://perfectworld-movie.jp/

監 督:柴山 健次

主 演:岩田 剛典(三代目 JSoul Brothers)・杉咲 花

漫画【パーフェクトワールド】1巻を読んで想うこと…02

出典:http://perfectworld-movie.jp/

予告編動画はこちら↓

2019年4月3日水曜日にはBlu-ray&DVDも発売されるようです。

2019年4月ドラマ化!

カンテレ・フジテレビ系4月16日の火曜日9時 ドラマ『パーフェクトワールド』

『いつかこのドラマが ただのありふれた ラブストーリーに なりますように。』

主演:松坂 桃李・山本 美月

パーフェクトワールド ドラマ公式サイト:https://www.ktv.jp/perfectworld/index.html

大変な人気作品となってきており、いまだ熱冷め止まぬどころかテレビドラマまで始まるので、今後ますます注目の作品となること間違いなしですね。

パーフェクトワールド4巻と私【中途障害者が抱える健常者との心の壁】について

さて、前回パーフェクトワールド3巻についてのブログを更新し、今回はこのパーフェクトワールドの4巻となります。

このパーフェクトワールド4巻については、『中途(人生の途中で障害を負った方を指す言葉)障害者の心のバリア』をテーマとして物語が展開されていったように思います。

パーフェクトワールド1巻から3巻までの流れで、つぐみと再会し、一度は幸せを手にしたものの様々な要因が重なって、結果的に…となってしまった樹とつぐみでしたが、樹の心の中ではなぜそのような結末となってしまったのか悩み考えいる中で、この作品の重要なキーマンとなる人物言葉に、自分の抱えているある想いに気づいてしまったようです。

障害者であることを過剰に意識してしまうことは

『心のバリア』を作り出してしまいます

我々がバリアを張ることで

健常者との壁はさらに高くなってしまう

パーフェクトワールド4巻より引用

作品の中でもこのように書かれている『障害者の心のバリア(壁)』ですが、このパーフェクトワールドの主人公である鮎川樹もそうであったように、『障害者の心のバリア(壁)』を作ってしまうのは先天性(生まれた状態から)障害がある方と比べて中途(後天性ともいう)障害のある方の方が、心の壁を作りやすいといわれています。

これはあくまでも一般論ですが、先天性障害がある方は生まれてから(幼児期に障害を負った方もこの分類に入ると考えて差し支えないと思います)機能障害がある状態であるために、機能障害がない状態がどのように便利で、自分が抱える機能障害がある状態がどのように不便であるかを比べる基準が自分の中にないので、『もしもあれが出来たら…』と心の中で悩みが生まれにくい状態です。

ただし、成長する段階において他の健常者の子供と関わることによって、「彼らはなぜあれが出来て自分は同じことが出来ないんだろう?…」との想いに悩まされますが、その悩みのレベルは『なぜ男ではないのか?・なぜ女ではないのか?』といった悩みに限りなく近いといっていいと思います。

そもそも柔軟性のある成長期の脳は比較的問題に対処しやすく、いつしか他人と自分が違うことが日常として受け入れて暮らすことが出来ます。

それが故に、先天性や幼少期に負った障害がある状態で大人に成長した方々は、親が擁護しすぎた生活を送らせていなければ、社会でも伸び伸びと活躍されています。

一方、人生の途中で障害を負ってしまった、いわゆる中途障害者(後天性障害者ともいう)の場合はどうでしょうか…。

中途障害者の場合、大きく分けて青年・成人期、壮年期、老年期によって受傷後の生活も大きく変わってきます。

中途障害者の受傷後の心理

◆青年・成人期(エリクソンの心理社会的発達理論によればおよそ15歳から39歳頃あたりまでの時期)の場合

この青年・成人期はパーフェクトワールドの主人公である樹が、自転車での交通事故で脊髄損傷受傷となってしまった年代です。(ちなみに私セイタロウも19歳にオートバイの交通事故で脊髄(頸髄)損傷となりました。)

この青年・成人期に中途障害(進行性ではない障害の場合)になると、受傷後しばらくはショック状態が続き、個性にもよりますが概ね数ヵ月から数年は情緒不安定な状態が続きます。

一般的には若年者ほど柔軟性を発揮して気持ちを切り替えられる方も多くいますが、若さが仇となって困難を乗り越える経験が不足しているが故に障害を受け入れられず、いつしか『障害者の心のバリア(壁)』を作ることによって現実から逃避してしまう方もいます。

さらにいえば、健常者の頃に身体的特徴(高身長やスタイルがよいなど)や、容姿(美男美女)や、身体能力に特化した状況(スポーツや体を使う仕事を得意とするなど)に自信を持っていた方ほど、障害者となってしまった自分を受け入れることが困難といわれています。

それは、それまでの人生で自分が築き上げたアイデンティティー(自分は何者であるかという概念)を喪失してしまうからに他ならない訳ですが、幸か不幸かそれ以降の人生の方が長いので、自分の殻から飛び出すきっかけがあれば、それ以降は若さが持つ柔軟性によって再び新たなアイデンティティーを築くことも可能となります。

したがって、受傷した年齢が若ければ若い程、それまでのアイデンティティーを柔軟に書き換えやすいので、障害を負ったとしてもその後に社会復帰できる確率も高くなりますが、結婚、子供、仕事の地位、社会の地位といった社会的立場が高まる程、アイデンティティーを柔軟に書き換え辛くなり、失ったものの大きさによって『障害者の心のバリア(壁)』を作ってしう可能性も高まります。(一見心のバリアがなさそうに見えても実は…ということもあります。)

パーフェクトワールドの主人公である鮎川樹でいうと、容姿端麗でスポーツマンであった彼が脊髄損傷によって車いす生活となって落胆しながらも、障害がある体と自分の心と折り合いをつけながら、あるきっかけによって徐々に『障害者の心のバリア(壁)』を取り除こうと努力している物語が、まさしくそういった状況といえるでしょう。

私セイタロウも、19歳の時に交通事故によって脊髄損傷になったのですが、やはり健常者の頃は身長も高く体力的な自身もあったので、障害者となってそのアイデンティティーを喪失してしまったことに落胆しましたが、交通事故から数年後に宿泊型自立訓練施設に入所して、同じような障害に悩み苦しんでいる人間は自分一人ではないと、その苦しみを仲間と共有できたことが大きな心の支えとなり、また、『障害者の心のバリア(壁)』を取り除こうと努力するきっかけにもなったと思います。

いずれにしても一人で悩み苦しむより、仲間や信頼できるパートナーがいれば、困難は乗り越えやすいようです。

私の場合は宿泊型自立訓練施設に入所しましたが、例えば同じような障害がある方々が参加するスポーツクラブに参加したり、SNSを通じて同じような障害を持つ方々と繋がり交流を図ったり、同じような障害を持つ方々が所属する職場や、障害福祉サービスを利用するなど、自助グループ的な関係を築く方法はいくらでもあると思います。

これは他者の意見を聞き入れることが出来る、特にこの世代の中途障害者に有効性があることですが、やはり一人で悩むよりも自助グループで悩みを共有したり話し合ったりする方が、一人で悩み苦しむことと比べて格段に悩みを解消する確率は高まります。

◆壮年期(エリクソンの心理社会的発達理論によればおよそ40歳から64歳頃あたりまでの時期)の場合

この壮年期に中途障害(進行性ではない障害の場合)になると、受傷後のショック状態の期間は確かにありますが、その後の適応方法は男女やその方の人生経験および家族構成等によって少し違った傾向があるようです。

男性の場合は社会的地位や家族の体裁を気にするあまり、ショックな状態をあまり表に出さない傾向がありますが、女性の場合は、障害を負ったことを機に気力や体力が衰えてしまう方と、障害を負っても「まあ、しょうがない…」といって感情の落ち込みがさほどなく適応できる方がいるようです。

いずれにしても、受傷後に障害者となってしまった体に対して相当の喪失感はありますが、それが表に出るか出ないか、もしくは出せる状況にあるかないかといった、青年・成人期にはない社会要因による二次的要素によって、少し複雑な『障害者の心のバリア(壁)』を築く傾向があります。

また、この壮年期からは年齢とともに重度の障害を負う程、その後の社会復帰できる確率も比例して低下していく傾向があります。

つまり、頸髄損傷の四肢麻痺といった障害者となってしまった場合、受傷時の年齢が40歳であれば社会復帰できる可能性は高いものの、64歳であれば社会復帰できる可能性は40歳と比べて格段に低くなります。

とはいうものの、この壮年期にあたる方々は比較的に人生経験豊富な方々も多いので、若い頃に困難を多数乗り越えてこられたような方であれば、比較的『障害者の心のバリア(壁)』も築かずに不自由ながらも前向きに過ごされる方が多いように思います。

逆にいえば、若い頃のご苦労が少ない方は、障害と折り合いをつける適応性が低く、年齢的に状況変化への対応力も低下しているので、いつまでも障害を負ってしまったことへの後悔や喪失感が癒えず、大きな『障害者の心のバリア(壁)』を築いてしまう方もいます。

そのような方の場合、『障害者の心のバリア(壁)』は健常者への攻撃(言葉の暴力)として表れることが多く、その行為によって自身の失った喪失感を埋めようとします。(順風満帆だった人生を送られていた方が急に重い障害がある体になるとこういった傾向がみられます。)

青年・成人期のように若い方々であればそういった行為を何かをきっかけとして切り替えられる柔軟性もあるのですが、壮年期の方々(特に男性)は柔軟性も低いので、一度そういった他者攻撃のような行動をパターン化(常習化)してしまうと、容易にその行動を変容することはありません。

つまり、青年・成人期のように自助グループで悩みを共有したり話し合ったりしても、年齢が高くなるにつれて他者の意見を受け入れられる柔軟性が低下しているために、誰が何と言おうと我が道を突き進む傾向が強く、一度築いた『障害者の心のバリア(壁)』はその後も維持されますが、老年期になるにつれてその勢いは衰えていくこともあるようです。

勿論これも人それぞれの個性にもよるので、必ずこうなるというものでもありませんが、傾向を知ればそれなりの対処の仕方も見えてくるのかもしれません。

◆老年期(エリクソンの心理社会的発達理論によればおよそ65歳あたりからそれ以降の時期)の場合

この老年期に中途障害(進行性ではない障害の場合)になると、受傷後のショック状態の期間はその後の人生においても続いてしまう傾向があります。

老年期では、それまでの人生において地位や名誉や自信等の社会的地位を高めている方もいますが、そのような方ほど障害者となってしまった後悔と喪失感は大きいようです。

例えていうならば、高い位置で物を落とす程にその衝撃は大きく、破壊力も大きくなるが故に復元も困難となる、といったことです。

さらに老年期では柔軟性が低いが故に、突如として障害を負ってしまった体に心が対応できず、そのまま精神的に衰弱してしまう方が多いようです。

元々老年期に入ると健常者であっても様々なことを諦めることによって自身の腑に落とす傾向がありますが、これが大きな障害を負ってしまったとなれば、心は必然的に諦めの方向に傾いてしまうことは否めません。

したがって、老年期の方々が障害を追ってしまうことによって築いてしまう『障害者の心のバリア(壁)』とは、強力な後悔と喪失感からくる失望感や絶望感となってしまうようです。

それでも、男性と比べて女性の方が柔軟性は高いので、失望感や絶望感も男性ほど深刻ではない傾向があるようです。

いずれにしても老年期の方が障害を負ってしまった場合は、周囲が暖かく見守ってあげることが一番なようです。


さて、またまたパーフェクトワールド4巻の内容から離れていく話題となってしまいましたが、もしも身近に重い障害を負ってしまった方がいらっしゃるのであれば、この記事の内容が少しでもお役に立てていただければ幸いでございます。

『障害者の心のバリア(壁)』について様々書きましたが、パーフェクトワールド4巻の作中でも語られていた通り、確かに障害者自身が『心のバリア』をなくすように努力していくことはとても大切なことだと思います。

それによって、健常者側も障害者に対して『心のバリア』を取り去ってくれることでしょう。

しかしそれは、1対1の顔の見える関係であれば比較的容易に通用する話なのですが、集団対集団となるとまた違った論理が影響して、理想通りにはいかなくなってしまうようです。

それでも、障害者も健常者も一人一人が『心のバリア』を取り去るように変われば、やがて世界も変わると私は信じています。

今回はパーフェクトワールド4巻の内容に沿って、中途障害者の心理を考えてみましたが、その障害者となってしまった当時者が気丈に振舞っていても、いや、気丈に振舞っているからこそ、その周囲にいる人はその障害を負った方をほおってはおけなくなってしまうのが人の心理だと思うので、このパーフェクトワールドの主人公の樹のように、自分を押し殺して直向きに生きる彼だからこそ、こんなにも魅力的な男性として映り、母性本能をくすぐる存在として成立しているのだと私なりに分析しています。

この分析を自分にも反映させたいところですが…、おじさんとなってしまった私には夢物語なのかもしれません。

あっ、私もどうやら老年期的諦め思考が芽生えてきてしまっているようです(汗)

それにしても、このパーフェクトワールド4巻も、基本的に純愛をテーマとした作品ですが、やはり脊髄損傷者の特性や、心理や、置かれている社会状況が、細かく丁寧に描写されています。

今後、樹とつぐみはどうなってしまうのでしょうか…長沢さんの動向も気になります。

まとめ

以上が本作品を読んだ私の感想となりますが、お読みになった皆様はいかが感じられたでしょうか?

今回は、障害者の心のバリアについて、脊髄損傷者のリアルを盛り込みながらストーリ展開されていきました。

何度読んでも、このパーフェクトワールドは本当に丁寧に当事者の方々に取材を重ねられて、創られていることを強く感じます。

それほどに脊髄損傷なリアルに迫った作品なので、脊髄損傷者の理解を深めるのであれば、大変参考になる作品であるといえます。

さて、今回もこのような記事としてまとめてみましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

今後、パーフェクトワールド5巻、6巻と同じようにご紹介させていただく予定でございます。

ご参考までに私が交通事故のあった時の状況は以下の記事をご覧ください↓

この記事をお読みくださった皆様は、どのようにお感じになられたでしょうか…。

障害があっても、生きづらさがあっても、生きる意味はきっとあり、恋愛だってあきらめることはないと強く言いたいです。

このような内容でしたが、いつか、どこかで、どなたかのお役に立てる内容であったら嬉しく思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

セイタロウ

パーフェクトワールド 関連作品紹介

今回紹介したのはパーフェクトワールド4巻でしたが、2019年3月現在に9巻まで発刊されております。