漫画【パーフェクトワールド】3巻を読んで想うこと…【障害者の自分を相手の親に紹介する心理学】

障がい者生活のセイタロウです。
このブログのこの記事をご覧くださりありがとうございます。

※※※この前書きは【1巻を読んで想うこと…】と共通の内容を引用しています※※※

私は、頸髄損傷(受傷部位:C6)四肢麻痺という比較的重度な身体障害がある手動車いすユーザー です。

普段は障害のある方々の支援をする某障害者生活支援センターに勤務して相談支援業務を行っておりますが、そういった日々の業務経験を積み重ねるうちに、いつしか社会保障制度や社会福祉全般に詳しくなり、気が付けば社会福祉士という資格も取得することが出来ました。

そんな私セイタロウですが、そういった仕事を通じて身体、知的、精神という障がいがある方々と交流を深めたり支援をさせていただくなかで、障がい者の生活について今まで以上に興味と関心を持つようになりました。


参考
セイタロウのプロフィール障がい者生活管理人&著者セイタロウの自己紹介

プロフィールにも書いてあるのですが、私セイタロウは映画や読書が好きなのですが、読書については小説や啓発本や専門書なども読みますけど、やっぱり漫画も大好きです。

好きな漫画は、週刊少年ジャンプを読んで育った世代なのでドラゴンボールや、シティーハンターや、スラムダンクなどなど(世代がよくわかると思います(笑))書き出せばキリがありません。

実は最近はあまり漫画を読めてはいなかったのですが、それでも車いす利用者が登場人物として描かれている漫画は、やはり自分も車いす利用者だけに気になって読んでしまいます。

車いす利用者、特に脊髄損傷という人が主役で描かれている漫画といえば、井上雄彦さんの作品である「リアル」が有名ですが、今回は2018年10月に映画公開された「パーフェクトワールド 君といる奇跡」の上映によって、有賀りえさん原作の本作品を知り、瞬く間にその世界観に引き込まれていきました。

今はただの車いすに乗ったおじさんとなってしまった私ですが、こんなおじさんでも本作品を読み返す度に胸がキュンキュンしてます(笑)

決して胸の動悸ではないと思います(笑)

さて、またまた前置きが長くなりましたが、今回、有賀リエさん原作の「パーフェクトワールド」が、「2019年4月/カンテレ・フジテレビ系4月クールの火9ドラマ」として放映されるとのことが決まったそうで、原作の一ファンとして陰ながら応援させていただきたく、単行本一巻毎にネタバレを含まない感想を、脊髄(頸髄)損傷当事者である私セイタロウの実体験を踏まえて書かせていただこうと思った次第です。

パーフェクトワールド 作品紹介【1巻からの共通項目あり】

原作紹介

さて、この【漫画【パーフェクトワールド】3巻を読んで想うこと…】の感想を書く前に、まずは作品紹介です。

作品名:パーフェクトワールド(3)

発行日:2016年3月11日発売/2019年3月17日現在までに全9巻発刊

著 者:有賀 リエ

発行所:株式会社 講談社[〒112-8001東京都文京区2-12-21]

内容紹介

車イスに乗る初恋の人・鮎川 樹と付き合い始めた川奈つぐみ。しかし周囲の厳しい視線のなか、つぐみは体調を壊し駅のホームから落下、大怪我を負ってしまう。つぐみは療養のため故郷・松本へ帰る。さまざまな試練の中で、樹はある決意をする。それは――。

Amazonより引用

ちなみに私セイタロウは、電子書籍にて愛読しております。

2019年7月19日 追記

YouTubeの漫画紹介(テレビドラマとの違いも確認してみてはいかがでしょうか?)

2018年10月には映画化!

作品名:映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』公式サイト:http://perfectworld-movie.jp/

監 督:柴山 健次

主 演:岩田 剛典(三代目 JSoul Brothers)・杉咲 花

出典:http://perfectworld-movie.jp/

予告編動画はこちら↓

2019年4月3日水曜日にはBlu-ray&DVDも発売されるようです。

2019年4月ドラマ化!

カンテレ・フジテレビ系4月16日の火曜日9時 ドラマ『パーフェクトワールド』

『いつかこのドラマが ただのありふれた ラブストーリーに なりますように。』

主演:松坂 桃李・山本 美月

パーフェクトワールド ドラマ公式サイト:https://www.ktv.jp/perfectworld/index.html

大変な人気作品となってきており、いまだ熱冷め止まぬどころかテレビドラマまで始まるので、今後ますます注目の作品となること間違いなしですね。

2019年7月19日 追記

ドラマ紹介の動画が消えてしまったので、パーフェクトワールドのチェインストリーをご紹介させていただきます。

さらにドラマパーフェクトワールド主題歌 菅田将暉さんの「まちがいさがし」PV

パーフェクトワールド3巻と私【障害者の自分を相手の親に紹介する心理学】について

さて、前回パーフェクトワールド2巻についてのブログを更新し、今回はこのパーフェクトワールドの3巻となります。

前の2巻で樹とつぐみの脊髄損傷者と健常者との恋愛において、リアルすぎる恋愛あるあるが展開されていきましたが、この3巻でその伏線が大きな節目となって表れてしまいます。

何度も繰り返しになりますが、私セイタロウも同じ脊椎損傷者として、また恋愛経験者として、このパーフェクトワールド2巻から3巻にかけての展開も似たような甘酸っぱい経験があり、このパーフェクトワールド2巻、3巻のあまりにリアルな感情の描写に、2巻同様に読んでいるこちらが切なくなり、そして、その昔の苦しんでいた若かりし頃の記憶が蘇ってきます。

その昔、私が車いすを利用するようになってから初めて付き合うこととなった当時の彼女も、今回の樹とつぐみと同じような状況になりましたが、今でも時々、あの時もっと自分自身をさらけ出す勇気があればどうなっていただろうか…と思い返す時があります。

今回のパーフェクトワールド3巻は、ざっくりいうとそんな感じです。(おそらく何の事だか全く共感を得られないと思いますが…)

また、この3巻の内容では脊髄損傷者ならではの「排尿排便障害(困難)」について取り上げられていたり、「脊髄空洞症」について取り上げられていましたが、こういった専門的知識を丁寧に調べて作品にふんだん描写されているので、全く違和感ないどころか、そのリアルがあるからこそ作品にのめり込んでいく要因でもあるように感じます。

「排便障害(困難)」からくる“摘便”については、おそらくすべての脊髄損傷者が理解していることで、樹のような青年が自分でもできる事を他人にされなければならない苦痛というか屈辱は、言葉で表現しがたい程であったと推察します。

この感情の描写もパーフェクトワールドでは、見事に描かれていたように思います。

また、個人的にはまさかこの手の漫画に「脊髄空洞症」の言葉や説明が出てくるとは…と、大変驚かされましたが、おそらく「脊髄空洞症」と、脊髄損傷者本人に聞いても何のことか知らない方も多く居るのではないかと思います。

それ程にこの作品が、丁寧な取材や調査を基に作られている作品である事が窺い知れます。

基本的に少女漫画(と限定してよいか疑問ですが…)としてのストーリーや展開はしっかりと描かれつつ、この物語の本質である「障害のある恋」について大胆かつ繊細に描かれていると、改めて実感しています。

それにしても、つぐみの両親の反応について、パーフェクトワールド3巻では世間一般的に想像できそうな展開となっていましたが、やはり手塩にかけて育てた娘が脊髄損傷者を連れてきたら…親の立場として考えたら、やはりここの判断は賛否両論に意見が分かれるポイントだと思います。

その昔、宿泊型自立訓練施設に入所していた頃に、同世代の彼女のいる脊髄損傷者やその仲間で、この問題について熱く語り明かした日々を思い出します。

結局、「なるようにしかならない」とか、「当たって砕けろ」的な根性論になってしまったと思います(笑)

もう随分と前の話ですが、私もかつてお付き合いしていた女性と結婚の約束を交わし、その後、彼女のご両親へどの様にご理解を得ていくかという事に、とても悩み、考えました。

これは、彼女と家族との距離感や付き合い方や立ち位置によって、大きく方向性も違ってくるのですが、私のお付き合いしていた彼女の場合は、彼女の意見が家族に受け入れられやすいパワーバランスを築いている女性であったので、彼女のご両親も彼女が選んだ男性であれば障害があったとしても…と、比較的受け入れていただきやすかったように思いますが、それでも家族会議を重ねる中でいくらかの反対も少なからずあったと聞いております。

そんな中で同時に進めていた作戦として、私が彼女の実家に定期的にお邪魔しに行くことによって、私自身の人となりを知っていただきご両親やそのほかご家族との距離を縮めていくという事を行いました。

これは心理学的に言うと「単純接触効果(ザイアンス効果ともいう)を利用してラポールを築く」といったような言い方をします。

単純接触効果とは

初めの内は興味がなかったり苦手であった人物や事柄も、例えば出先の同じ場所でいつも一緒になるなどして何度も見かけたり、友人や知人からいつも同じ人物や事柄について聞かされていたりすると、次第に好意感情が起こるようになってくるという効果。万能ではなく、逆に敵意を抱いてしまい場合もあるので注意が必要。

ラポールとは

心と心が通い合った繋がりを意味する心理学用語で、相手との信頼関係が保てている状態のことをいう。

※ラポールの築き方としては、呼吸を合わせる、共通点を示す、行動や言葉をまねるなどといった行動を、相手に意識されずに行うことがポイントとなります。

今となってはこの心理療法を応用したテクニックも理解していますが、私が彼女の両親へご挨拶に行った当時はこんなこと知らずに行ったので、ある意味一か八かで必死で通っていましたが、一つだけ確かなことは、心理学のテクニックを使おうと使うまいと、結局は人柄と熱意に勝るものはないという事です。

やはり人柄や熱意が相手に伝わなければ、どんなテクニックを使おうがすぐに見透かされてしまいます。

さて、またまたパーフェクトワールド3巻の内容から離れていく話題となってしまいましたが、もしもこの記事内容が障害者と健常者との恋愛において何かヒントとなっていたら嬉しいです。

それにしても、長沢さんの樹への想いと情熱もすさまじいものを感じますが…樹の態度ったら…モテる男というのは罪な存在ですね(汗)

それにしても、前作の1巻2巻に引き続きこのパーフェクトワールド3巻も、基本的に純愛をテーマとした作品ですが、読み進めていくうちに、やはり脊髄損傷者の特性や、心理や、置かれている社会状況が、細かく丁寧に描写されていることがよく解ります。

今後、二人の交際はどうなってしまうのでしょうか…樹とつぐみの気持ちを想うと…

まとめ

以上が本作品を読んだ私の感想となりますが、お読みになった皆様はいかが感じられたでしょうか?

今回は、過去の思い出と、今の現実と、将来への不安といった流れで進んでいく中で、両親の存在や、樹とつぐみ以外の大切にしている人への想いの行き違いなどを、脊髄損傷者のリアルをふんだんに盛り込みながらストーリ展開されていきました。

パーフェクトワールド1巻や2巻同様に、『あなたは 障害のある恋が できますか?』のテーマの本質的な部分に触れた見事な描写だと思います。

このパーフェクトワールドを読み進めていくにつれ、著者の有賀リエさんのお人柄も窺い知れる気がしますが、大変細かな部分まで当事者の方々にリサーチを重ねられて、丁寧に作品を描かれているように感じています。

特に車いすの描き方などは、細部にわたって誤魔化さずに細かく丁寧に描かれており、相当に研究されておられる事が窺い知れます。

それほどに脊髄損傷なリアルに迫った作品なので、脊髄損傷者の理解を深めるのであれば、大変参考になる作品であるといえます。

さて、今回もこのような記事としてまとめてみましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

今後、パーフェクトワールド4巻、5巻と同じようにご紹介させていただく予定でございます。

ご参考までに私が交通事故のあった時の状況は以下の記事をご覧ください↓

この記事をお読みくださった皆様は、どのようにお感じになられたでしょうか…。

障害があっても、生きづらさがあっても、生きる意味はきっとあり、恋愛だってあきらめることはないと強く言いたいです。

このような内容でしたが、いつか、どこかで、どなたかのお役に立てる内容であったら嬉しく思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

セイタロウ

パーフェクトワールド 関連作品紹介

今回紹介したのはパーフェクトワールド2巻でしたが、2019年3月現在に9巻まで発刊されております。

 

セイタロウ

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